便座だけを新しく交換しようとカタログを見ていると、一万円台の安い製品から、十万円を超える高価な製品まで並んでおり、どれを選ぶのが本当にお得なのか分からなくなることがあります。この値段の差を正しく理解するためには、購入時の「イニシャルコスト」だけでなく、毎月の電気代という「ランニングコスト」を含めたトータルコストで比較することが不可欠です。前述した「貯湯式」と「瞬間式」の比較はその最たる例です。貯湯式の便座は、構造がシンプルなため本体価格は二万円前後と非常に安いですが、タンク内の水を常に一定温度に保つために、二十四時間ヒーターを稼働させ続ける必要があります。これに対して瞬間式は、本体価格が四万円から六万円程度と高めですが、使う瞬間にだけ電気を使うため、待機電力が極めて少なくて済みます。具体的に計算してみると、貯湯式の年間電気代は約五千円から七千円程度かかるのに対し、瞬間式は二千円から三千円程度で済むことが多いです。つまり、一年間で四千円前後の差が出ることになります。この計算でいくと、五年使い続ければ二万円の差が埋まり、六年目以降は瞬間式の方がトータルでの値段が安くなる計算になります。温水洗浄便座の平均的な使用寿命は十年程度と言われているため、長く使うことを前提にするならば、最初に少し高い値段を払ってでも瞬間式を選んだ方が、最終的には数万円単位でお得になるのです。さらに、最新のハイエンドモデルには、使用頻度の低い時間帯を自動で学習して節電モードにする学習節電機能や、人がいない時に便座の温度を下げるセンサー機能などが搭載されており、これらを活用することでさらにランニングコストを抑えることが可能です。また、電気代以外にも「清掃コスト」という視点も忘れてはいけません。高価な便座には、汚れを弾く樹脂素材やノズルの除菌機能が備わっており、掃除のための洗剤代や自分自身の労働時間を削減できるという目に見えないメリットがあります。値段を比較する際は、単なるレシートの金額だけでなく、十年間の電気代と日々の手間を合算した「真のコスト」を意識することが、失敗しない製品選びの極意となります。
温水洗浄便座の電気代と本体価格から考えるトータルコスト