住宅のメンテナンスにおいて、排水管の高圧洗浄は定期的に行うべきだという風潮がありますが、実はそれによって新たなトラブルを招くこともあるという事実はあまり知られていません。配管の専門家として多くの現場を見てきた立場から言えば、高圧洗浄の最大のデメリットは「過信による配管寿命の短縮」にあります。排水管の内部には、油分や汚れの付着を防ぐためのコーティングや、平滑な仕上げが施されていることがありますが、高圧の水を何度も当てることで、これらが剥がれ落ちてしまうことがあります。一度表面が荒れてしまった配管は、以前よりも汚れが付着しやすくなり、結果として洗浄の頻度を上げなければならないという悪循環に陥るのです。これを業界では「洗浄依存」と呼ぶこともあります。また、洗浄方法を誤ると、詰まりの原因となっていた固形物がさらに奥へと押し込まれ、手の施しようがない場所で完全に閉塞してしまうリスクも無視できません。こうなると、床を壊して配管を直接取り替えるしかなく、数十万円単位の工事費が発生してしまいます。業者の選定も非常に難しいポイントです。技術力の低い業者は、管の種類や材質、曲がりの数を考慮せずに一律の高い圧力で作業を行おうとします。例えば、塩化ビニール製の管と、古い鋳鉄製の管では耐えられる圧力が全く異なりますが、それを見誤ることで漏水事故が引き起こされるのです。また、高圧洗浄はあくまで「表面の汚れを落とす」作業であり、配管の勾配不良や逆勾配といった根本的な構造欠陥を直すものではありません。構造に問題がある場合、いくら洗浄を繰り返してもすぐに詰まりが再発してしまい、お金を捨てるような結果になりかねません。消費者としては、洗浄が万能な解決策ではないことを自覚し、まずは現状の配管がどのような状態にあるのかを、内視鏡カメラなどを使って正確に診断してもらうことが先決です。安易な高圧洗浄の繰り返しは、家という資産の価値を損なう可能性があるということを、今一度強く認識しておくべきでしょう。
プロが指摘する排水管メンテナンスの闇