私たちが毎日何気なく使っている水洗トイレは、限られた水量で汚物を確実かつ衛生的に排出するため、非常に巧妙な構造を持っています。その構造は、大きく分けて水を貯めておく「タンク」部分と、実際に排泄物を受け止め、排出する「便器」部分の二つから成り立っており、これらが連携することで一連の洗浄機能が実現されています。まず、「タンク」は、洗浄に必要な約6リットルから8リットル(節水型では4リットル前後)の水を一時的に貯蔵する役割を担っています。その内部には、給水と排水をコントロールするための様々な部品が収められています。水を流すレバーに連動してタンクの底の栓を開閉する「フロートバルブ」、タンク内の水位を感知して給水を自動で開始・停止させる「ボールタップ」と「浮き玉」、そしてタンクから水が溢れるのを防ぐ安全装置である「オーバーフロー管」などがその代表です。一方、「便器」の最大の特徴は、その内部にS字やP字に曲がった排水路、いわゆる「排水トラップ」が設けられている点です。このトラップ部分には常に一定量の水(封水)が溜まる構造になっており、これが下水道からの悪臭や害虫が室内へ侵入するのを防ぐ「蓋」の役割を果たしています。水を流すと、タンクから供給された水が便器の縁(リム)にある穴から渦を巻くように流れ出し、その水の勢いと「サイホン作用」という現象を利用して、汚物と封水を一緒に排水管へと吸い込み、排出するのです。このタンクと便器の絶妙な連携プレーによって、衛生的で快適なトイレ環境が保たれています。